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くるまみれ

23歳、文系。メカ知識なし。スピード欲なし。ただひたすらにくるま好き。

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フランス車がやたら丈夫な映画?

前回のフランス車が頑張ってる映画【前編】はコチラ。

さて、今回取り上げるのはこの映画です。

Ronin.jpg

RONIN。
1998年のアメリカ映画。

当時の兄が…って今でも兄だけど
「銃とクルマが出まくる、めっちゃ面白い映画がある!!」って持ってきたのを今でも覚えている。

ストーリー的には、なんかこう謎めいた特殊工作員上がりのフリーランスたちが、謎のケースを奪う作戦を決行するというもの。
内容を端折ってるのではなく、確信に迫る部分は最後まで語られない。
ミステリアスな映画です。

で、中盤とラストのカーチェイスが非常に秀逸。
普通のクルマで狭い街なかをスリリングに走り抜ける、結構長めの見せ場があります。

今回は中盤の方にフォーカスすると、舞台はイタリアのニース。

フィアットのCMに出てきそうな狭い街並みを、巨大なセダン…プジョー406、アウディS4、メルセデス・ベンツ450SEL、シトロエンXMが走り抜ける。
狭い街並みで巨大なセダンっていうのが、TAXIやトランスポーターにつながります。

でもこっちは、よりガチな殺し合い、というか追撃。

超人的な運転テクも片輪走行もないけれど、というか有り余るパワーで路肩にフェンダーをぶつけたりしながら、ターゲットを追い詰めていきます。

xm.jpg

デ・ニーロ&ジャンレノの乗るベンツが敵のプジョーを蹴散らしていき、その裏ではスキップ・サダス演じる仲間がアウディA4でシトロエンを追います。

で、今回はこのシトロエンに注目!
上の写真にある、やたら鼻の長いクーペのようなモデル。

前輪より先がスッと伸びていて、直線基調のデザインはまるで宇宙船のよう。
シトロエンの威信をかけた高級車として登場した、豪華でフォーマルで、中身は最新鋭。そんなモデルです。

プジョー405みたいな、いかにもな箱系セダン型とは違う魅力があるハッチバックのデザイン。
流麗な背中はプリウスともインサイトとも違うし、うんやっぱ、ミステリアスな宇宙船。

で、何故こんな、最終的にアウディの餌食になるシトロエンに着目するかといいますと…

変な話このXMが「ちゃんと動いていることに感動したから」
実はこのXM、ちょっとした曲者なのです。


ronin005.jpg


このモデル、開発期間が極端に短かったせいでトラブルが多いと聞きます。

あまりに複雑なシトロエン独自のサスペンション(※)は独自の乗り心地を提供してくれるものの、反面、寿命は短い交換パーツは高いで中古車市場に燦然と輝く孤高の存在になってしまいました。
いえ、クセで中古車と言ってしまいましたが新車当時も手がかかるのは一緒です。

それに加えて電気系統の故障も多く、当時も今も、憧れだけで乗るにはあまりにハードルが高い。そんなモデルなのです。

で、そんなXMのことを想いながら久しぶりにローニン見てみたら

山道の段差を乗り越えてジャンプしてるんですね。ひゃぁああ


今じゃもはや「月一の整備で完璧な状態を保てるマニアックなお金持ちの乗り物」扱いのXM様が
アウディに小突かれながら、砂利道で踊り狂っている様子は今見ると唖然とします。

しかし、そうはいっても当時は最新鋭の高級車。
個人的には悪役っぽいモデルの皆無なフランス勢において、その独特の存在感は「正体の分からない敵」の愛車にはイメージ的に合っていたのではないでしょうか。

そういえばこの映画、ドイツ車に乗る主人公一味(ベンツ・アウディ)がフランス車に乗る敵(プジョー・シトロエン)を追撃するという構図。

主人公がプジョーでベンツを追っていた前回のTAXIとは逆なんですね。

意外と劇中車とその生産国っていうのは意味を持っているので、そこらへんに注目してみても面白いかもしれません。

ronin2.jpg

他にもBMW M5 vs プジョー406など、見せ場は沢山です。
ちなみに某世界最大の動画投稿サイトで”ronin car chase”とか入れると、美味しいシーンだけ出てくる…かも。

カーチェイスは本当に、凄い映像とってます。
これぞ全然ネタ要素のない迫真の追撃シーン。一見の価値有りです。



※鬼門のハイドロニューマチックとは。

当時の高級シトロエン車の代名詞にもなっていたハイドロニューマチック・サスペンション。

これはごく単純に説明すると、4輪のサスペンションをバネではなく、密封されたオイルと空気で支えるメカニズム。
これによって前後輪がゆるやかに連動し、たとえば前輪が何かに乗り上げると、中のパイプを通ってリアのサスにそのオイル圧が伝達され、ボディ後部が持ち上がる。

すなわち特に高速域で、路面の段差やうねりに関わらず常にボディを水平に保てるのです。
それは時に、魔法のじゅうたんと形容されます。

で、それが必ずしも優れているかというとそうではない。
シトロエン独自の技術であるそれは、低速域での挙動が必ずしもそこまで優れないのと、やはり当時はトラブルが多かった。
なにせ同じオイルを回してステアリング操作や変速機まで潤滑させていたので、構造が複雑すぎたんですね。

この独特な乗りアジをコアなシトロエン好きは高く評価しますが、それはあくまで「シトロエンファンだから」という注意書きがつきます。

私のようにこのミステリアスなスタイルに憧れる人が多いものの「ハイドロにはうかつに手を出すな」が欧州中古車ファンの鉄の掟。
もちろんサスだけでなく、電気系統などなど、中古車としてはいろいろ問題を抱えているというのが通説です。

ただしXMよりも幾分信頼性の向上した、一世代後のモデル「エグザンティア」は、デザインは若干大人しいながらバリバリ格好良いです。それに中古車価格が残酷なほどに安い個体も。

もちろんそれなりに手は掛かるでしょうが、本気で乗りたい一台です。
いずれ、シトロエン関連をまとめて取り上げたいですね。

結局あまり映画の話、ちゃんと書けてないし……。
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  1. 2012/10/04(木) 01:22:13|
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フランス車が頑張ってる映画?【前編】

今回は好きなカーチェイス映画2点を。

普段からカーアクションの有無に関わらず映画は好きなのですが。この2つのカーアクション映画、もとい映像は格別。

何が好きかといえば、それは「撮り方」

ヨーロッパの狭い街並みで、ものすごい速度で蛇行して一般車を躱しながら高速走行するサマは一瞬たりとも目が離せない。

危険走行ももちろんしてるけど、某ワイスピやタクシー2みたいに「コレは絶対あり得ないけど面白いギャハハ!」っていうシーンがあまりない。

特定の見せ場でスローモーションを使ったりせず、遠景と並走、車載カメラを効果的に使って、とにかく物凄く気持ちのいいテンポで走行シーンを撮ってる。


だからグイグイ引き込まれてしまう。

純粋にクルマの使い方で勝負してて、それを一番格好良く撮ってる。そんな気がする映画。
ちなみにカメラワークは、クルマのCM撮ってた人が担当しているとのこと。

まず一つ目はやっぱりコレ
taxi.jpg

ご存知カーアクション×コメディの古典的作品?TAXI。

TSUTAYAが近いのでDVDは買わない主義だったのですが、これは家に置いておきたいと初めて買った作品。
それくらい、初めて見たときは衝撃を受けた。

ストーリーをザッと解説すると、スピード狂のタクシー運転手ダニエルがヘボ刑事エミリアンと協力して、銀行強盗団「メルセデス」を相手に立ちまわるというもの。
ノリは完全にコメディで、特にダニエルとエミリアンの絡み…というかエミリアン個人が面白すぎて泣けてくるレベル。

で、そんな2人が協力するラストのカーチェイスが本当に面白い。

エアロパーツが文字通り「生えてきた」高速走行モードの406を2台のベンツが追うのですが、なかなか捉えられない。
軽量級の406は抜群のテクニックでヒラヒラと一般車の間をすり抜ける。
で、その後ろを重量級のセダンが、パワーに物を言わせて追い詰める。小型車を蹴散らしながら、いかにも直線勝負みたいな走り方で追うベンツは、やっぱりというか少しずつ壊れていく。

この対比が印象的。

メルセデスの方も間違いなく運転は上手いんだけど、ダニエルの巧みな挑発に完全にキレてるから、まるで八つ当たりでもするように、容赦なく一般車に当って走行ラインを保とうとする。

そして、もはやネタバレにもならないように予想通り、ダニエルたちの策略にハマっていく。

Peugeot_406_taxi_3_(1).jpg

このダニエルの乗ってるプジョー406がね、めちゃくちゃ格好いいんですよ。
純白に直線基調のセダンなんだけど、ラインがスッキリ整ってて、いま見ても全然旧さを感じさせない。

この写真は顔が後期型なのでTAXI-2に出ているモノなのですが、コッチも良い。エアロパーツはお世辞にも似合っているとは言えないけど(笑)

ちなみ2では、なんと空も飛んだりする。

2の相手役?はランエボⅤなんだけど、こっちは両方とも「華麗に走り回る系」なので対比があまり感じられない。
2の可笑しな日本描写も捨てがたいけど、やっぱりカーチェイスのシーンからして1が最高。


強盗団メルセデスの愛車は500Eと、ファンには憧れの重量級高性能セダン。

ポルシェの工場で、ポルシェの技術でチューニングされた代物なのですが、でもやっぱり、どっしりと低く構えたゴツいスタイルが魅力。
それとミスマッチなリアウィング。負けず劣らず、めっちゃ格好いい。

i002405.jpg

正直コッチは旧さを隠せないけれど、やっぱり格好いいなぁ。

赤くて旧いベンツの格好良さを印象づけられたワンシーン。


406だったら完全ノーマルで乗るのに尽きるけど、こっちのベンツ乗るんだったら意地でもこの色で、しかもこのリアウィングちゃんと取り付けて乗りたい、そう思わせる。

実際、本物の500Eは希少なんで難しいんだけど、ちょっと旧い赤のベンツが妙に格好良く見えてしまう。

実際街なかでこんな高速走行しないけど、こういう映画にあやかって、格好いいセダンに乗りたいなぁなんて思ってみたり。

さて、後編ではどんな映画が登場するのでしょうか。。。


●参考リンク

406中古…オートマだともっともっと安い

500E探したら意外にあった。でも地味色

そういえばこんなベンツが売ってたな【過去記事】




  1. 2012/09/16(日) 23:44:25|
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『未来のつくりかた』読了【後編】

<前半はコチラ>

前半では、日本のミニバン人気が実は、家庭内でのお父さんの権威の低下によるものだという和田さんの主張に触れました。

で、その結果として起こったのが、日本のメーカーから続々とミニバンが発表され、他に例を見ないミニバン帝国になってしまったことです。

本の中で和田さんは「日本の工業製品(クルマに限らず)は可愛さを売りにするなど、ユーザーに媚びている」と書いています。それは家具にしても家電にしてもそうですが、特に最近のクルマがそうであるように感じます。

女性向けをテーマにした軽自動車だったり、奇をてらったデザインのSUVだったりが日本には多くあります。
しかし和田さんの見方では、それらは一時は流行っても、すぐに廃れるものです。
流行にのって受入れられるようなデザインはあくまで現象であり、すぐに飽きられて長続きしないのです。そして和田さんの意見では、日本にはそういう製品ばかりだと言います。

ではどんな製品がいいかといえば、Apple製品やSONY製品が挙げられていますが、ことドイツ製品が優れていると書いています。すなわち一見すると冷たい印象を受けるものの、シンプルで質実剛健、使うべき機能が最小限盛り込まれているというイメージだそうです。

これを自動車に当てはめると、豪華で高性能ながらどことなく「伝統を背負っている」「簡単に姿を変えない」メルセデス・ベンツやBMW、それにアウディやポルシェの姿が浮かんできます。どれも「かわいい」とは程遠い存在感がありますが、こと安定した走行や安全性、速さを徹底的に磨き上げてきました。

もう一つ、これらのメーカーに共通することがあります。
それは製品ラインナップを絞っている、また増やすにしても体系的に増やしている点です。

たとえばメルセデス・ベンツはコンパクトなAクラス、少し大きめのBクラス、ベーシックなセダンのCクラスと上級のEクラスという風に、クラス間の上下関係が一目で分かる商品構成をしています。
さらにこの並びだと、「Bが売れないから統合してしまおう」とは安易に判断できなくなります。全体で一つの会社を構成する製品として、縦に並んでいるのです。
言うまでもなく、各クラス…セダンやワゴン等…ごとに伝統があり、サイズや特性を変えることはあれど、着実に進化し続けています。

これはBMWの1シリーズ、3シリーズ、5シリーズにも共通しています。

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ところが、これが日本のメーカーの場合だとどうでしょう。
人気が出そうな車種をボディ形状やキャラクターごとに差別化した挙句、際限なく横に広がり、また簡単に統廃合されているように感じます。
もちろんトヨタのクラウンやスバルのレガシィのように「伝統的な」モデルもありますが、どこかごちゃごちゃして、現れては消え、上書きされて…を繰り返しているように見えます。

このあたりに、前半の最後で述べた「新しいものに飛びつく日本」と「伝統を磨き上げるドイツ」という構図が見えるのです。
ついでに付け加えると、日本車は、例えばトヨタ車だと、トヨタのエンブレムがなく車種ごとのエンブレムが着いているクルマが数多くあります。アルファードやクラウン、オーリスなど、全て車種専用のエンブレムを持っています。
しかしそれは、ドイツのメーカーでは考えられないことです。ベンツもBMWもアウディも、必ずメーカーのエンブレムが堂々とついています。
ドイツはあくまで、メーカーの名前で、息の長いモデルを作ろうとしているのです。

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結論として、ドイツのメーカーは伝統を大事にし、ラインナップを絞って息の長いモデルを生み出そうとします。車名からして序列があり、体系化され、またそれぞれのカテゴリ内で各モデルを磨き上げていきます。

対する日本の自動車メーカーは新ジャンルの投入とラインナップの廃止を繰り返し、常にニーズにあったキャッチーなモデルを生み出そうとします。その結果のミニバンブームやクロスオーバーブームが生まれている反面、ラインナップが煩雑化しているのも事実です。
また、前半に述べたような社会情勢を踏まえた「流行り廃り」が必ず存在します。

常に新しいもので勝負する日本車と伝統を重んじるドイツ車。
もちろんどちらがいいと安易に言える問題ではありませんが、和田さんは「目新しさで売る商品は長生きしない」と書いています。


ちなみに国産車市場では近年、ベーシックなセダンが影を潜め、その人気を海外勢に侵食されつつあります。

今や一大ミニバン国家となった日本は、かつてはステーションワゴン帝国だったり、軽自動車王国だったりしました。もしかしたら、というか既にハイブリッド立国でもあります。
ですがベーシックなセダン車やワゴン車の、こと存在感においてドイツ車には敵わないこともある、そんな記事をかつて読みました。実際、巷には3シリーズのセダンやCクラスのワゴンがあふれています。

日本は往々にして「輸入車は輸入車、日本車とは比べないで!」という風潮があり、あまり考えたことのない「ドイツ車vs日本車」というテーマだったのですが、なかなか面白い切り口を得ることができました。


●参考リンク
<過去記事>ミニバン戦争

アウディ・トップページ



  1. 2012/08/21(火) 00:30:48|
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『未来のつくりかた』読了【前編】

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今回は自動車デザイナーである和田智さんの著書『未来のつくりかた Audiで学んだこと』の内容からです。

この本の内容はてっきり「どうやって新型アウディのデザインが生まれたか」なのかと思いきや、日本とドイツのものづくりの根本的な違いを突く内容で非常に興味深かったです。


ですが本の内容に入る前に。


20101503_200803.jpg

アウディというのはドイツの高級車メーカーです。メルセデス・ベンツとBMWに並ぶけど、その2大メーカーに比べると若干知名度が低いように思えます。
ですが最近、先進的なデザインと内装の質感に特に力を入れており、一時期2大メーカーに押され気味だった国内での人気も回復しつつあります。写真は同社のベーシックなセダンであるA4です。

このA4然り、同社のデザインはこのフロント部の、縦長に繋がったようなグリルが特徴になっています。「シングルフレームグリル」と呼ばれます。

で、実はこの意匠を最初に発案したのが、この本の著者である和田智さんなのです。
もちろん本の中では、和田さんがどのような経緯で次世代アウディの文字通り”顔”をデザインすることになったのかも触れられています。ですが今回はむしろ、和田さんの語る日独の自動車文化の違いについて触れたいと思います。

この本の中で一番刺さった内容として、和田さんは日本のミニバンブームを「父権の失墜」と捉えています。それはどういう意味なのでしょう?


ミニバンブームについては<過去記事>で取り上げたのですが、それが何故、父親の在り方にまで関わるのか。これは個人的には凄く面白いテーマです。

結論から言うと、それは家庭内での実用性が優先される余り、お父さんの好きなクルマ…それはセダンかも知れないしスポーツカーかもしれない…に乗ることができなくなったのです。というか、そういう家庭が増えているのです。

ある自動車ディーラーの話では、ある家庭が自動車を購入する際に強い決断力を持つのは、お父さんではなくお母さんなのだそうです。
それは財布を握っているという意味でもありますが、子供の送迎などで運転しやすく、かつ荷物が積めて移動が快適だからだそうです。
で、(和田さんの目にする範囲での)世のお父さん方は、週末はそのミニバンの運転手としてドライブに「駆りだされている」と。

これと対照的に和田さん自身のお父さんは、いすゞベレットGTを初めとしたスポーツタイプのモデルに多く乗られていたそうです。和田さんの幼少期はお父さんの意志でドライブに「連れて行かれ」、クルマでの送り迎えなどもっての外だったと書いています。
そして、そんなお父さんの姿から和田さん自身も車好きになったそうです。

ここから何が言えるか。
今の日本のミニバン人気の裏にあるのは、お父さんが本当に乗りたい気持ちを抑え、実用性重視の価値観が優先された結果なのです。
それはスポーツカーの不人気というよりも、お父さんの権限の後退と結論付けられます。

以前の記事でも取り上げましたが現代の日本のミニバンは、いかに走行性能の高そうな誂をしていても、結局のところ実用車です。実用車が悪いとは言いませんが、運転が好きで乗るクルマかというと、そこには超えられない壁があります。
別段、全てのお父さんが潜在的に自動車好きであるとは言えませんが、「自動車趣味から最も遠い乗り物」たるミニバンにここまでの人気が集まることに、和田さんは違和感を隠せないようです。

ミニバンについての和田さんの主張はここまでですが、私はこれは、本文中で触れられていることの重要な伏線のように感じました。それが和田さんの言う、日本とドイツのものづくりの姿勢、ひいては歴史観につながります。

つまり、消費者に媚びる日本・刷新を繰り返す日本と、伝統を重視し、ブランド名で真っ向勝負するドイツの製品という違いです。


>>後半へ
  1. 2012/08/20(月) 23:22:38|
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『ナローポルシェの憂鬱』読了

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試乗だけが生き甲斐じゃないです、たまにはちゃんとした読書もしてます。

これは著述家の吉村明彦さんが、ご自身で購入されて私生活で愛用されている1973年型のポルシェ911、通称「ナローポルシェ」と過ごす日々について書かれたものです。
私の愛読書である欧州車情報誌『tipo』でかつて連載されていた内容を再編したもので、初版は2003年。ちょっと前の本ですが、格安中古車好きなら読んどけみたいなことを某ショップの店員さんに言われ、今回アマ●ンで購入した次第です。

いや~、こういう本読んじゃうとね…やっぱ乗ってみたいっす。ポルシェ。なんてね……

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生憎ながら到底そんなテンションで接するような本ではない、なぜならコレは、基本的には苦労話中心のエッセイ。言うなれば鬱ゲーです。でも、鬱で終わりにならない。読み終わって無性にすっきりしている今、敢えて深く考えずに内容まとめさせて頂きます。

序盤は、吉村さんが憧れのナローポルシェを購入するところから始まります。
今と同じか、当時の男性陣にはそれ以上に輝いて見えたかもしれないポルシェ911。水冷とかRRとか、フェルディナント・ポルシェとかそういう薀蓄話は抜きにしても、とにかく乗りたい、所有したい。そう思わせる、圧倒的存在感を誇るマシンとして登場します。
運良くそんなマシンを所有して、日常的に乗る権利を手にしたところからこの「鬱ゲー」は始まります。

今風かつ簡素な表現を使えば、絶望的に扱いにくい。足裏の加減一つで急上昇と急下降を繰り返すエンジンに、重いペダル。発進で一苦労かと思えば、安定して回すのにもっと苦労。唐突に訪れる故障と修理、そんなこんなでとにかく苦労の連続。
そんな中で出会えた「ポルシェの神様」の異名を取る凄腕メカニックの指導を仰ぎ、夜な夜な「練習」に出掛ける筆者。前半はひたっすらそんな感じ。

しかしその中で筆者は、「扱いにくい」と感じていた自分の態度を恥じるようになる。扱いにくいナローポルシェに非があるのではない、それは乗りこなせない自分の傲慢である。いつだってクルマは正直に、乗り手の性格を映す。それがこの本で示されている一つの主張である。

そしてもう一つの主張は、好きなクルマと過ごす日々は格別であり、それは苦労あってこそ意味を持つということ。辛くても、手間がかかっても、好きなクルマを手懐けようと藻掻く姿勢が克明に描かれている。それは今の大抵のクルマでは、ともすれば、そこまで苦労することでもなかったりする。

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今の時代の「ちょっと変わったモデル」っていうのは、私の知る限り、日常性を保っている。というか、どうあってもそれが主目的に作られている。耐久性も高い。だから大抵の旧車は、燃費が悪いとかアイドリングが安定しないとか、操作系が重いとかうるさいという問題はあっても「乗れる」。というのが読む前の認識。

そんな前知識だけで読むと、いかに旧車の世界が奥が深いかに驚かずにはいられない。
エンジンだって、ただただ回せばいいと思っていると確実に不調をきたす。で、それに気づかずに対策を怠ると取り返しの付かない事態になる。物語は正直、この繰り返し。
例えば、いかに高い温度でオイルを燃焼させながら走るか。そうでないとカーボンのカスが溜まってしまうので、回転系を見ながら、後部座席の後ろから聞こえてくる音を聞きながら、筆者は毎晩のように練習に行く。
エンジン系の話題が多いがRR特有の操作感、旧車特有のメンテナンスの苦労も折に触れて語られている。ことに故障と修繕、そして原因解明の話題が多いが、幸か不幸か具体的な金額の話が大分省かれているのでそこそこに安心して読める。
とはいえ、とにかく全てが一筋縄でいかないし、トライ&エラーを繰り返して、時に神様の叱責を食らいつつも、筆者は少しずつナローポルシェをまともに扱えるようになっていく。

実はここにこそ、この本を読まずにいられない一番の理由がある。
何を隠そう筆者は別に、自動車の専門家でも工学部出身でもないのだ。職業柄「いろいろなこと」に詳しいが…それは歴史だったり文学だったり…でもメカニックの知識や特別な運転技術は持ち合わせていない。

それでも乗りたいと感じたクルマに一生懸命に「仕え」、少しずつ心を通わせている様には、クルマ好きとして羨ましいと感じずにはいられない。
確かに間違いなく手はかかる。専門のメカニックがいて、たゆまぬ練習を自分に課し、運転指南書で研究し、実直に接していくことでナローポルシェは少しずつ筆者の日常の一部になっていく。その過程から、目が離せなくなる。

好きなクルマがある人…それは新車だろうと旧車だろうと…の全員に薦めたい本。
乗って、手がかかって、自分に合わないと感じて「じゃあいいや」って、簡単にはならなくなると思うし、それ以前に全てのクルマが好きになる。
クルマは道具であるがそれだけじゃない、そんなカーマニアには当たり前のことを、改めて思い出す。評論家の試乗レポートばかり読んでいても絶対にこういう感想は抱かないだろう。

これ読んで、私もすぐにでもプントに乗りに行きたくなった。エンジンを思いっきり吹かしつつ、いつも以上にクルマの調子に気を配りながら走りたい。そんな気持ちになりました。

  1. 2012/08/07(火) 01:24:33|
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